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経営戦略として労務管理を捉えたいという気持ち

クラウド労務管理サービスGozalを運営しております、高谷と申します。
労務 Advent Calendar 2019のトップバッターとして発信してまいります。宜しくお願い致します。


自己紹介を少しだけ

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事業紹介も少しだけ

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労務管理サービスGozal
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今年は労務管理の情報発信に力を入れました

イベントも結構開催しました。来年も1〜4月はすでに毎月労務のイベントを開催することが決まってるので、引き続きどしどし情報発信していきます。

以下今年開催した主なイベントです。

またnoteの記事として労務に関する情報発信もやらせていただきました!

3つの視点で見まくった労務管理

さて、2019年は、①自社の労務管理実務、②クラウド労務管理サービスの開発、③他社の労務管理サポートの3つを1年間ひたすらやってきました。

自社の労務管理実務

自社の労務管理は自らがその「自社」の一部であるため、非言語的な組織カルチャーの理解は深くあります。

そのためミッション / カルチャーなどから考えた時に、組織として「どうありたいのか?」を解答する作業を行うことがもっとも重要だと思っています。

弊社は「働き方と持ち味を繋げる」というミッションを掲げています。

会社の仲間が「こういう役割を担いたい」と言ってくれた時に、それを応援しつつ、その仲間の持ち味がさらに最大に発揮できるために、どうしたらいいかなを会社全体で考えます。

例えば弊社CTOの黒瀬は「最強のエンジニアチームを作りたい」という想いを持っており、そのために日々仕組みづくり、自らのスキルの研鑽など努力をしてくれています。一方でアメフトをやっていたことも絡んで筋トレ・健康という趣味があります。

趣味とは、その人の「持ち味」に近いものです。なので、黒瀬のその持ち味を生かして採用活動に繋げられるように、「エンジニア筋トレ部」というコミュニティを立ち上げました。会社の仲間みんなで立ち上げをバックアップしています。

合わせてコミュニティを支援するために労務関連の制度も整備したいと考えています。例えば下記のようなものです。
・プロテイン購入費用の会社負担
・健康増進手当(現在設計中)

先日、そのエンジニア筋トレ部のイベントも開催でき、黒瀬も爆笑をかっさらっていて、2週間くらいで100名を超えるエンジニアの方がコミュニティ参加いただきました。採用にもつながりそうです。

まさに働き方と持ち味が繋がった瞬間だったと思います。

「こういう会社にしたい」という想いがあって、その想いを体現する制度・働き方・設計を整理していくことが重要だと改めて思いました。

クラウド労務管理サービスの開発

クラウド労務管理サービスの開発では、どの課題を解決するかを決めることが重要です。

なぜならすべての課題を解決するプロダクトを開発したいと思っても、まさに今着手できることは常に一つづつの課題であり、同時にすべての課題解決に向けて進めることができないからです。

ここに労務管理サービス開発の難しさがあります。本来、すべての業務は独立した概念ではなくて、相互密接に関連しあったものだからです。

例えば特許権発明者に対する報酬を定義する職務発明規程で言えば、労務と経理と法務と知財はすべてつながっています。しかし、実際にシステム化するとして、すべての課題を同時に解決することはできません。

だからといって、1つ1つの課題だけに集中して解決しようとすると、他の概念を考慮しようとした時に、当初の想定では解決できないことがわかったりします

例えば職務発明では、特許権を生み出した発明者に対して、給与計算で普通に給与として処理すればいいと考えていたとします。しかし、契約的には社員が労働者ではなくなった退職後についても、報酬を支払う事もあります。

その場合、退職処理をしてるので、普通に給与計算処理をするだけでは、やりたいことを自動化することができないかもしれません。

「給与計算での報酬支払いの処理を考えながら、職務発明の契約の自由度を考慮して退職後も報酬計算できる設計にする」と同時にいろんなことを考えなければなりません。

労務管理システムでは、このようなで相互に影響を与え合う概念が無数にあります

なので対策として全て完全に理解してから開発を進めていくという方針になります。そうなると保守的になり、開発スピードを維持できないという課題に直面します。

ここで企業側の意思決定が問われるのですが、売り上げを上げるためにユーザーから求められた機能を早めに開発するか、なるべく機能を一気に増やさず、じっくりチームのドメイン全体の理解を深めてプロダクトを徐々に作り上げるか。

機能を早く開発すればするほど、後で気づいた概念、のちに生まれた概念に対応することができなくなります。

大事なのは、解決する課題を定義すること、解決しない課題を定義すること「顧客の労務管理をどうしたいの?」に対する解答が最も重要になります。

弊社は「働き方と持ち味を繋げる」というMissionを掲げています。

なので、顧客の中にいる社員の方が持ち味を発揮できる会社になるような、プロダクトにしたいと考えています。

具体的には、「こういう社員は、こういう働き方がいいのではないか?」と経営者・人事担当者が日々頭を抱えて、悩みながら生み出したアイデアを、すぐ・簡単にスタートして、運用も自動化、効果測定ができて、改善もできる仕組みを持ったプロダクトにしたいです。

そんな想いを持っているのであれば、目の前のお客様が「これ作ってくれたら導入したい」と言ってくださった機能を急いで作ることだけが、答えではないと判断しています。

Missionから考えたプロダクトのあり方から妥協せず、作りぬくことが未来に繋がると信じています。

他社の労務管理サポート

他社の労務管理サポートについてですが、他社の場合、非言語的なカルチャーをすぐにはつかめませんし、もしかしたらずっとつかめないかもしれません。

コンプライアンスの強度をどこまで高めるか、顧客と一緒に考えて判断しますが、判断は顧客視点で行う必要があります。自社だったらこうするというのは、参考にはなりますが、答えにはなりません。

そのため、提案をする際には「顧客の感覚」をなるべく学ぶことが大切です。会社によってはいきなり制度を変えたりすることが様々な理由で、難しいケースもあります。「過去ずっとこの運用でやってきたから、効率化できるとしても今更変えるのが難しい」というケースもあります。

顧客の経営戦略における労務管理の意味合いを理解して、提案・運営・サポートを行うことが重要となります。自社の労務管理よりも他社の労務管理を支援する方が難しいなということを常に考えさせられました。

一方で「この顧客の労務管理はどうあるべきなのか?」を考えると、自社の労務管理・プロダクトの両方に対しても改めて発見が見えることもたくさんありました。

顧客のミッションを噛み砕いて、理解して提案することは簡単ではないです。ただ、顧客の担当者の声に耳を傾けて、誤った提案をしてしまうこともありながらも、一緒に悩み、解決策を少しづつ実行していくこと。この取り組みが何にも変えがたいやりがいに溢れていて、この事業をやっていて本当によかったと思っています。


経営戦略を超えて労務管理を捉えてはならない

3つの視点から深く労務管理に関わらせていただいた時に共通しているなと感じているのは、労務管理は経営戦略の中の一つの概念でしかないということです。経営戦略とは、組織の中長期的な方針や計画のことです。

どういう働き方・人事制度にすることで、どういう組織を目指すのか。組織のあり方に寄り添って労務管理が形作られていくことが最も適切なことだと信じています。

勤怠の打刻方法一つ、手当の端数処理一つ、休職者への対応一つ、退職者との面談一つとっても、どういう組織でありたいかが明確であれば、それに寄り添うことで、答えはでると思います。

つまり労務管理において、社会保険手続をミスなくこなし、給与計算を正しく行うことはアウトプットとして重要ですが、

コアな価値は「こうありたい」と願う組織像を言語化し続けること、そして、その答えに寄り添う仕組みを、細部に至るまで作り込むことだと思います。

ミッションやビジョンが痺れるテーマだったとしても、勤怠・給与・制度の考え方の細部に魂がこもってなくて、首尾一貫していない場合、チームの信頼関係は時間をかけて徐々に崩れていくことになります。

とはいえ、勤怠・給与の設計において、細部に魂がこもっていたとしても、それだけでチーム信頼関係が完璧になるわけではないです。あくまで組織・経営戦略の一部でしかないと考えています。

経営戦略を無視して、ガチガチの規制を作ったところで、それは労務管理ではなく、ただの「ガチガチの規制」でしかないと思います。


経営戦略として労務を捉える方法

年末だからこそ、来年のスタートダッシュに向けて全ての労務担当者(私も含めた)はミッション・ビジョン・バリューを改めて深く噛み砕く機会を設けるべきかなと思います。

就業規則・労働契約・勤怠設定・給与設定・休職者対応プロセス・オンボーディングプロセスなど具体的で言語化された制度 / ルールが、

抽象的で非言語的なミッション・ビジョン・バリュー・カルチャーと首尾一貫しているかどうか、全て点検していくことが重要だと思います。

規模がどうであれ、経営戦略と首尾一貫した労務管理を、楽に整備することは絶対できないです(3,000社以上の労務担当者と対話・サポートをしてきた私がいうので多分一定以上確かです。)

年末そんな作業を自社でやってみますので、その内容をまた公開させていただきます。

ぜひ来年からは経営戦略としての労務管理(SaaH = Strategy as a HR)を皆さんで考えて行けたら最高だと思います!

以上、2019年の総括と来年の豊富を含めまして、労務に対する想いとさせていただきます!ありがとうございました。

頂いたサポートは、すべて「直感的に操作できる人事労務サービス」の改善・開発に投資させていただきます。具体的にはエンジニア・デザイナー人件費などです。