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労務担当者は「労務的負債」をコントロールすると疲弊しなくなるという仮説

プロダクト開発の現場では、長期的な製品開発を行う中で、様々なジレンマがある。

例えば、じっくりと考えて、設計して開発すべき部分について、ビジネススピードを考慮して、すっ飛ばして先にすすまなければならないかもしれない。

そうすると、将来的にそこがボトルネックになって、開発スピードが遅れたり、時には「覆水盆に返らず」な時もある。このような状態を技術的負債と呼ぶことはすでに多くの人が見聞きして、体験して、共通言語ができている。

労務的負債という概念の提唱

一方で、労務領域にも負債は存在している。
ここでは「労務的負債」と名ずけてしまおう。

労務担当者ならこのネーミングを見た時に、「言われてみれば、労務にも先延ばしにすることで返済がどんどん難しくなる負債がたくさんあるわ」と思う方は多いだろう。

労務担当者が現時点で疲弊していることの原因の多くは、数日前の話ではなく、かなり前に本質的な原因がある。

そして、なるべく早くその負債を返済しない限りどんどん負債は積み重なり、問題として顕在化したり、もはや小手先でごまかす以外の改善ができなくなる

労務管理の本質は、この「労務的負債」を科学的に整理、把握して、優先順位を正しくつけて解消し続けることにあるのではないだろうか。

そんな思いをが数ヶ月前から湧いており、いまタイピングをしている。


3つの労務的負債

思うに労務的負債にも種類がある。
大きく3つに分解することができる。

1. オペレーション負債(operational debt)
2. コミュニケーション負債(communication debt)
3. 隠蔽負債(hiding debt)負債


オペレーション負債とは

過去・現在のオペレーション構築/改善が不十分であることを原因として、将来的に発生する業務時間・対応コスト・ヒューマンエラー誘発・高ストレス業務発生などのデメリットの集合のことを意味している。

例えば当月末締め翌月2日払の会社は社員数が1名ならまだ対応できるかもしれないが、1,000人になった時には、物理的に勤怠・給与業務が回らなくなる。

よって、早めに支払日を遅らせるオペレーションに変更しておくべきである。しかし、何かと忙しくて社員が100人くらいに増えるまで、支払日の変更を実行できていない場合、社員に対する説明コスト、キャッシュフロー上で問題がある社員へのケアなど本来数名に説明するだけでよかった業務が、大きなボリュームになってしまうのだ。

- 正しくないオペレーションを刷新するコスト
- 過去は適応できていたが組織変化に取り残されたオペレーションの刷新コスト
- つぎはぎのオペレーションで、しっかり考えずになんとなく運用してしまったが故の改善コスト
- 前任者が作った謎のオペレーションを引き継げず刷新する際のコスト

労務担当者が関与するオペレーションは種類としては10〜100くらいはあるので大変ではあるが、オペレーション構築に手を抜かないこと、改善を急ぎ進めることが、自分自身を疲弊させないために絶対的に重要である。


コミュニケーション負債とは

説明・配慮・ケアが必要なタイミングで、労務サービスが提供できなかったことを原因として、将来的に生じる紛争・離職・トラブル・業務時間・対応コストなどのデメリットの集合のことを意味している。

例えば入社時・育児休業時など社員にとって大きなイベントについて、手を抜いた適当な説明・ケアをしてしまうと、リスク・注意点などが伝わらないばかりか、社員にとっては人生で1度しかないようたイベントに最悪な思い出として記憶されて、離職・トラブルに至る可能性は少しづつ大きくある。

そういった「ここぞ」というところのコミュニケーションがしっかりとした設計・準備・熱量がないと、社員には伝わらない。

社員に伝わらないと退職者・休職者・紛争社員との対応が発生する確率が少しづつ高まっていき、労務担当者自体が疲弊していくことになる。もちろん毎月の勤怠や顔色を見た上での、声かけも含めて、コミュニケーション不足が将来的な問題の引き金とならないようにしていくべきだろう。


隠蔽負債とは

勤怠の細かい反映漏れ、給与計算の細かい反映漏れ、その他計算処理の誤りを回収しないことなどの隠蔽を重ねることを原因として、将来的に紛争・離職・トラブル・未払精算・信用失墜などのデメリットの集合のことを意味している。

労務は繊細でプロフェッショナリズムが求められる役割であり、たった1円のズレも「まぁいいっか」と思うか「社員にフェアな給与環境を実現したい」と願うかによって、大きな差になる

そして、そのプロフェッショナリズムの不足は、絶対に絶対に社員に伝わる。これは絶対にだ。

社員に正しく・公正な給与を提供することを貫く姿勢は、労務管理の他の業務にも必ずポジティブな影響を及ぼす。社員にもそれはきっと届く。

隠蔽することで、誰かが勝利することは過去も現在も未来もない。
とにかく、オープンにすること。
ミスがあって、影響が出ても、取り返すことに全力を注げばいい。

取り返そうと思って、ミスをオープンにした時に「ミスしやがって」という心無い言葉を浴びせられ、嫌な顔をされた労務担当者の方がいたら申し訳ない。
それは私が背負っているミッションの一つ「労務管理の信じがたい難しさの啓蒙」がまだまだできていないことの結果である。
本当に申し訳ございません。まだまだ頑張って啓蒙してまいります。

労務担当者の方は今まで通り、隠蔽をせずにプロフェッショナルであり続けて欲しい。それができなかった時には、それは労務担当者の責任ではなく、そうさせてしまったこの環境の責任であると考えているので、そこを変えていくことが必要である。

労務的負債のまとめ

まとめると、労務的負債には3つの種類がある。
1つは、オペレーション負債(operational debt)
2つは、コミュニケーション負債(communication debt)
3つは、隠蔽負債(hiding debt)

忙しい中でもオペレーションにこだわること、しっかりと設計することが重要である。

オペレーションのクオリティが高まれば、そもそもミスは減って隠蔽する必要は無くなっていくし、自動化されて手作業などで疲れてコミュニケーションが希薄になることも減る。なので、オペレーションの構築・改善にいつでも投資すべき。

一方で、コミュニケーションこそ最も労務として大切なことだと思う。社員と共に在り、変化を見抜いて、先回りして課題を解決に向かわせることができれば、社員にとって会社の居心地が良くなる。 

単純すぎる説明で恐縮だが、その細かいコミュニケーションを徹底することで、ネガティブな離職・休職などの数・率を減らしていくことができるはずである。

そして隠蔽しないこと。これは絶対にこだわって欲しい。ここが労務担当者としての基礎中の基礎であるが、最も最終的なマインドセットだと思う。
どんな経験を重ねても、何も経験をしていなくても必須で確保すべき考え方。


なので、労務担当者は日々のオペレーションを回しながら、負債をコントロールして、返済することが大切である。

【繰り返す労務的負債の管理方針】
1.労務的負債を常に意識をして、把握・測定すること
2.把握した労務的負債をカテゴリ別に分解
3.カテゴリ別に労務的負債に優先順位をつける
4.労務的負債の解消方法を企画・実行


この労務的負債という概念をもっと言語化を進めて、各カテゴリごとに発生する負債事例・解消事例を皆様と一緒に作ってきたいと思っております。

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